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宮尾登美子「錦」
2018/03/05(Mon)


錦



久しぶりに宮尾さんの作品を読みました。今までにも、酒造り、絵、琴、茶道、懐石料理、歌舞伎などいろいろな世界に生きる女性を描いてきた宮尾さん。今回は、京都西陣織の世界で、しかも主人公はなんと男性なんです。

女性を飾るきらびやかな帯を、衣服の域を超えて芸術品にまで高めた龍村平蔵(本の中では、菱村吉蔵)の生涯を描いています。彼がいかにして、京都西陣で織物会社を立ち上げ、いかにして新しい織り方や新しい模様を開発していったか、そしていかにして織物を美術品の地位にまで高めたか、いかにして法隆寺や正倉院などに伝わる国宝級の古織物の復元をまかされたか、を情熱を重ねて描いていますね。

宮尾さん自身も「私もかって少女時代、思わず人が振り返るような、あの龍村の帯を締めてみたかった」と言われています。しかし斬新さゆえに、コピー商品に悩まされ、長年「西陣」との戦いだったようです。

彼のまわりを取り巻く3人の女性の描き方は、さすが宮尾さんの世界、彼女たちの献身、苦悩をみごとに書き表しています。

主人公のあくなき創作意欲に、宮尾さんの情熱が重なり、まさに「錦」のような作品に織り上げられていると言えますね。







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コメント
- 龍村の帯 -
宮尾さん、最後の長編小説、そして主人公が男性ということで読んだのが4年前くらいでした。
時が経って忘れそうでしたが、蘇りました。
お陰様で…

いつもきものをお召しになられていた姿が目に浮かびます。

宮尾さんが亡くなられた時、林 真理子さんが
「いつか宮尾富美子評伝なるものを書きたい」と
言われてましたが、実現したらいいな、と思っています。
2018/03/07 13:02  | URL | しいちゃん #L.p4hnjw[ 編集] ▲ top
- さすが! -
もう読まれていたんですね!さすが読書家のしいちゃんさん!
ただ、この吉蔵という人は、すごい創作力があるのに、自分では織らないんですね。ちょっと不思議な感じがしました。
この作品、映画になってもいいし、また、宮尾さんの評伝など読んでみたいものですね。
また、面白い本があればご紹介くださいませ。
2018/03/07 21:18  | URL | レン #Kl26ezCs[ 編集] ▲ top
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